25時の日記 Part2

    私は海を抱きしめていたい

    久しぶりに坂口安吾の「私は海を抱きしめていたい」を読んだ。

    肉欲に溺れる男と不感症の女。2人が本当に交わることはない。虚無の世界。
    自らの肉欲の限界を感じるくだりが秀逸。

    以下、引用

    「それは私の一瞬の幻覚だった。空はもうはれていた。女はまだ波のひくまをくぐって、駈かけ廻まわっている。私は然しその一瞬の幻覚のあまりの美しさに、さめやらぬ思いであった。私は女の姿の消えて無くなることを欲しているのではない。私は私の肉慾に溺おぼれ、女の肉体を愛していたから、女の消えてなくなることを希ったためしはなかった。
     私は谷底のような大きな暗緑色のくぼみを深めてわき起り、一瞬にしぶきの奥に女を隠した水のたわむれの大きさに目を打たれた。女の無感動な、ただ柔軟な肉体よりも、もっと無慈悲な、もっと無感動な、もっと柔軟な肉体を見た。海という肉体だった。ひろびろと、なんと壮大なたわむれだろうと私は思った。
     私の肉慾も、あの海の暗いうねりにまかれたい。あの波にうたれて、くぐりたいと思った。私は海をだきしめて、私の肉慾がみたされてくればよいと思った。私は肉慾の小ささが悲しかった。」
    1. 2016/06/08(水) |
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