25時の日記 Part2

    文学老人

    一昨日、セルフのカフェで前に並んだ老人が小銭を落としたので拾ってあげた。慇懃に礼を言う老人の顔に見覚えがあった。いつだったか、2、3年前同じカフェででっぷりした下駄履きの老人が隣になり、いきなり林芙美子について話題を向けられたことがあった。放浪記がどうたらと話しているうちに、漱石、川端康成、太宰治に話は移り、老人は「ぼくはグッド・バイが好きだ。あなたは?」と訊かれ、「女生徒」というのは何だが気恥ずかしいので「親友交歓」というと、「ほ~」。分かってるのか分かってないのか妙に感心された。

    その老人がすっかりやせ細っていてびっくりした。しばらく見かけなかったのは、おそらく病気を患ったからだろう。死相なんていうと失礼だが、顔色は濁り、声のトーンは下がり、当時の見境なく周囲に話しかける元気も活気も失われている。
    老人は私のことをまったく覚えていないようなので、「どういたしまして」とだけ言って顔を背けた。
    1. 2013/10/03(木) |
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